加賀棒茶の世界About Kaga bou-cya
基礎知識
お茶の「茎」の部分を焙煎したほうじ茶。
加賀棒茶とは
一般的にお茶と言えば、お茶の「葉」を加工した緑茶を思い浮かべますが、加賀棒茶の原材料は緑茶を加工する過程で産生する副産物(茶業界では「出物」といいます)のお茶の「茎」の部分です。加賀棒茶はこの茎の部分を焙じたほうじ茶です。石川県加賀地方では単に「棒茶」と言われています。
石川県加賀地方で常用されているお茶。
赤ちゃんが生まれてしばらくし、離乳食が始まるころにはやかんで沸かした棒茶が哺乳瓶に入るようになります。お父さんや子供さんが水筒に入れていくのも棒茶。三度の食事はもちろん棒茶ですし、とっておきの和菓子のお供も先ず棒茶からです。飲食店でのお食事にも棒茶が提供されますし、病院や福祉施設の給茶機にも棒茶が使用されていることがあります。加賀地方の根付いた、日常生活と切っても切れない堅い絆で結ばれたお茶が、加賀棒茶なのです。
他ではあまり見かけない、独自のお茶。
加賀地方の地元のスーパーマーケットで棒茶を置いていないお店はありません。しかも陳列棚のメインステージにズラリと多くの種類が並んでいます。あまりにも棒茶が当たり前なため、近年まで県民のほとんどはこれが石川県独自のお茶とは知りませんでした。ですから就職や結婚などで石川県民が他府県へ引っ越すと棒茶を求めてお店を探し回ることに・・・。当店にも時折、「東京のどこへ行けば買えますか?」と、お問い合わせをいただくことがあります。これも当工房がWEBサイトを開設した理由の一つです。
「加賀棒茶®」は地域団体登録商標。
2020年1月、当工房も所属する石川県茶商工業組合により「加賀棒茶」の名称が地域団体商標として登録されました。北陸新幹線の金沢延伸もあり加賀棒茶の知名度が全国的に高まる中、名称の乱用が懸念される状況となったためです。石川県で長年培われてきた食文化でもある加賀棒茶を大切に育て引き継いでゆきたいと思います。